DLC(Diamond Like Carbon)
DLC(Diamond Like Carbon)を光学的に応用?
DLC(Diamond Like Carbon)とは
DLCコーティングは、Diamond Like Carbonコーティングの略称で、硬質な炭素系薄膜です。
ダイヤモンドとグラファイト(黒鉛)の両方の炭素を主成分とした物質で作られた薄膜の総称です。
ダイヤモンド結合をSP3、グラファイト結合をSP2と言い、両方の結合をもつ構造を
アモルファス構造(非晶質構造)と言い、DLCはこれにあたります。
SP3・SP2の比率や、水素の含有量により、各社がそれぞれに特徴を持たせた
独自の成膜を行っております。一般的にDLCは非常に硬く、また滑り性が良いため
高品質の耐磨耗性材料として、機械部品の摺動部分などに使用されています。
安達新産業では、独自のプラズマ制御技術によりさらに限界まで高め、
光学用(赤外線反射防止膜用)に最適化しました。
特に中遠赤外線領域のAR膜として、DLC膜の加工技術としても注目を集めています。
英国Teer社のスパッタリング技術、Graphit-iC™
安達新産業株式会社並びにグループ会社の大阪真空工業株式会社では、
1990年代より、英国Teer社のスパッタリング装置を導入し、成膜事業を
行って参りました。
Graphit-iC™とは、英国TEER社が独自開発した硬質カーボンと金属を積層した
マルチレイヤー構造を有するDLCコーティングの呼称です。
Graphit-iC™は、TEER社独自の閉磁場非平衡マグネトロンスパッター方式で
成膜することにより、緻密で優れた密着性・耐摩耗性・低摩擦係数などの
特長を有する水素フリータイプのDLCコーティングです。
グループ会社の大阪真空工業株式会社では、機械部品、自動車部品、工具などの
摺動性UP、耐摩耗性UP、長寿命化など様々な用途で使用されていたDLCを成膜
しておりましたが、設備の老朽化に伴い2023年3月で終了しました。
ただ・・・安達新産業株式会社は、摺動目的でのDLCからは一味違った
DLCの機能に着目し、生産を続けております。
DLCを光学的に応用し、赤外線反射防止膜へ
背景
赤外線の透過率を上げたいという要望は、昔から根強くありました。
同時に、特に中赤外から遠赤外用の窓材は一般的に弱い性質の為、
(傷に弱い、水に弱い、薬品に弱い)、成膜・コーティングによる性能向上が必要です。
その性能向上の要望に応えたコーティングが、ANIX-DLCコートです。
https://www.e-coating.jp/products/184/
特徴
- 赤外域(波長3~12μm)において抜群の高透過率
- 超硬質(Hv=1500)でキズが入りにくい
- 耐薬品性、耐食性に優れ、苛酷な環境でも使用可能
今後の展開
- 光学製品の製造のみならず、企画や設計も日本のメーカーのシェアが沈下しています。
しかしながら、長年培ってきた成膜のノウハウ、特に多層膜の対応や生産技術をもとに
新たな市場を開拓する可能性を秘めたDLCの技術を、安達新産業株式会社は今後も開発に
注力して参ります。